高知モデルとは?
高知県知事の挨拶
全国に先行して人口減少や高齢化が進む本県では、福祉・介護サービスに対する需要は拡大の一途をたどっており、さまざまな方々がそれぞれの状況に応じた支援を必要としています。こうした方々が今後も地域で暮らしていくために、福祉・介護の仕事に従事されている皆さまに期待される役割は、ますます重要になってまいります。
そのため、県では「日本一の健康長寿県構想」を策定し、「県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県」を目指して、保健・医療・福祉の各分野の課題解決に向けた3つの柱を設定するとともに、「職員の定着促進」と「新たな人材の確保」の両面から介護人材の確保対策に取り組んでいるところです。
職員の定着促進に向けては、全国に先駆けて、職員・利用者双方に優しい「ノーリフティングケア」を推進しています。
平成26年度から取り組みを進め、令和元年度時点で、既に県内の1/3以上の介護事業所に実践していただいており、利用者の二次障害の防止や姿勢改善などのケアの質の向上につながるとともに、職員の腰痛防止など働く環境が改善することによって離職率が減少するといった効果もみられているところです。
厚生労働省が策定した「職場における腰痛予防対策指針」においても、原則として人の力で抱き上げることを禁止し、リスク回避の視点から、福祉用具の利用が推奨されています。
新たな人材の確保に向けても、人力による介助からノーリフティングケアへ働き方を革新し、高知のスタンダードなケアとすることで、「介護=腰痛を引き起こす重労働」という現状の解消とイメージの払拭を図り、ともに福祉・介護職員が安心して長く働ける魅力ある職場づくりを進めてまいりましょう。
高知家で提唱する「高知モデル」
「ノーリフティングケア」について、「リフト等の福祉用具を使用するケア」や「重度者介助のための技術」であると狭義の意味で受け止められることがありますが、本県では、下記の4つの視点から「ノーリフティングケア」を推進しており、施設の規模や、利用者の重症度、入所、居宅の種別に関わらず全ての事業所において必要な取り組みであると位置づけています。
ノーリフティングを普及させることで、福祉・介護業界の意識と働き方を変えて介護業界の当たり前を変える!
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目指す姿
『安心して長く働ける職場に変革するとともに、利用者と職員双方に優しいケアの実現』
「高知モデル」の特徴
平成28年度に、県をあげてノーリフティングケア推進に取り組む意向を「高知県ノーリフティングケア宣言」という形で発信し、福祉用具導入等の環境整備にかかる補助制度や、組織マネジメントや技術教育をリードする人材育成、フォーラムの開催等を通じて普及を図っています。
ノーリフティングケアを本県のスタンダードなケアとするためには、特定の業界、施設だけで取り組むのではなく、医療・福祉業界全体でノーリフティングケアに取り組み、職員はもちろん、利用者やご家族の理解を浸透させる必要があります。このため、令和2年度に、医療・福祉分野の関係団体を構成員とした協議会を設置し、県内の医療・福祉業界が一丸となって取り組む地域づくりを目指しています。
高知県のノーリフティングの取り組み
平成26年 |
「介護福祉機器等導入支援事業費補助金」を創設(H26) 福祉機器等の導入を支援することで、職員の負担軽減と働きやすい職場環境を整備する |
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平成27年 |
「福祉・介護就労環境改善推進事業」を開始(H27) ノーリフティングケア先進モデル施設の創出(H27〜28) 組織でノーリフティングケアを実践する施設を公募し、総合的なマネジメント支援研修を開催 H27:5施設(特養4、障害1) H28:7施設(特養5、老健1、介護療養型1) |
平成28年 |
高知県ノーリフティングケア宣言
少子高齢化の進行する本県が、全国に先駆けて宣言!! |
平成29年 |
ノーリフティングケア宣言ガイドブックの配布 ノーリフティングケア導入の必要性、実践に向けてまず取り組むべきこと、適切・不適切なケアの解説、ノーリフティングケアの効果など、実践に向けて役立つガイドブックを作成し、県内全事業所に配布。 |
平成30年 |
・小規模事業所や在宅などにも普及活動を強化 第1回 ノーリフティングフォーラム開催
高知の福祉・医療職場を安全に働ける場所に改革しよう! すでに実践が進んでいる施設、これかた実践を始める施設、医療現場・医療職など、幅広いターゲットに対し当て有益な情報を発信するために初のノーリフティングフォーラムを開催。 |
令和元年 |
ノーリフティングケアを実践出来る事業所を増やすために人材育成を強化 ・労働安全衛生の視点を強化した研修の開催 ⇒組織内で労働安全衛生マネジメントに基づくノーリフティングケアの実践を推進できるリーダー「ノーリフティングマイスター」と「技術教育リーダー」養成開始 ・教育用ツールの作成・配布 ⇒ノーリフティングケアが職員一人ひとりの健康を守るために必要で有効なケアであることをしっかりと伝達し、技術の習得もスムーズに行えるよう、組織での内部研修に活用できるDVD教材を配布 第2回 ノーリフティングフォーラム開催
高知の福祉・医療職場を安全に働ける場所に改革しよう! 第2弾 高知県ノーリフティングケア宣言ポスター ノーリフティングは、単にリフトなどの福祉用具を使用することではなく、労働安全の取り組みであること、すべての事業所で取り組むべきことを改めて発信するために作成 |
令和2年 |
徹底したノーリフティングケアを実践している事業所、推進できる職員を増やす
・ノーリフティングケアの基準を統一し、マイスター及び技術教育リーダー養成を養成することで、基準を満たす事業所を増やすためオンラインで研修を実施 優良事例表彰
先進的な取り組みについて表彰しさらなる普及促進を図る 腰痛予防のためのノーリフティング手引書作成 本手引書は、厚生労働省の事業「令和2年度 介護サービス等における生産性向上に資するパイロット事業一式」の一環で作成しました。 特設サイト「高知家まるごとノーリフティングサイト」開設 |